文部科学省 科学研究費補助金 学術変革領域研究(B) 令和3年~5年

ヘテロ群知能

多様な細胞の集団動態から切り拓く群知能システムの革新的設計論

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文部科学省 科学研究費補助金
学術変革領域研究(B) 令和3年~5年

ヘテロ群知能

多様な細胞の集団動態から切り拓く群知能システムの革新的設計論

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研究組織

A03班
新生ニューロン群知能:脳の再生効率を決定する挙動と制御則の理解
代表者 金子 奈穂子 (同志社大学大学院脳科学研究科)

研究紹介

 再生過程においては、成熟組織内で新たな細胞が適切に配置されていくことが重要です。哺乳類の脳では、神経回路の主役であるニューロンの大部分が発達期に産生されて成熟した脳内ではほとんど産生されないため、再生能力が非常に低いことが知られています。しかし、「脳室下帯」と呼ばれる領域では例外的に成熟脳内でもニューロンが産生されており、幼若な新生ニューロンは長距離を高速で移動して、神経回路の可塑性や再生に関与します。新生ニューロンの群れは、細長い細胞塊を作り、交代で足場となりながら周囲のグリア細胞に移動経路を作らせる、という独特の様式で移動しており、これが成熟脳組織における移動に必須であると考えられています。しかし、移動・足場形成・経路作成という複数のタスクを、時空間的に遷移しながら分担するヘテロな細胞群としての挙動のメカニズムは全くわかっていません。本研究では、ライブイメージングで記録した新生ニューロン群の挙動を、抽象度の高い数理モデルを用いて解析し、群としての移動制御機構を見出すとともに、その基盤となる分子機構を解析し、新生ニューロンが「群れ」として精緻な脳機能の修復に寄与する群知能的な移動制御メカニズムを解明することを目指します。

新生ニューロン群知能:脳の再生効率を決定する挙動と制御則の理解

A03班メンバー紹介

研究代表者

金子 奈穂子 (同志社大学大学院脳科学研究科)

金子 奈穂子 (名古屋市立大学大学院医学研究科)

精神神経科の臨床医をしていたころ、成熟した脳内を長距離移動する新生ニューロンのことを知ってとても驚いたことが、私が研究者になるきっかけでした。神経回路に細胞レベルの可塑性を与えられる新生ニューロンの挙動や制御則を知り、制御することで、そのポテンシャルを最大限に生かして、脳機能の再生という難しい課題にアプローチしたいと思っています。

経歴

2000.3
山梨医科大学(現:山梨大学医学部医学科)卒業、医師免許取得
2000.5 – 2004.1
山梨大学医学部精神神経科 研修医・医員
2004.4 – 2007.4
慶應義塾大学医学部生理学教室 共同研究員
2007.3
山梨大学大学院医学工学総合教育 博士課程修了、博士(医学)取得
2007.10
日本精神神経学会精神科 専門医 認定
2007.4 – 2009.3
井上フェロー(名古屋市立大学)
2009.4 – 2013.7
名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野 助教
2013.8 – 2018.3
名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野 講師
2018.4 – 2022.3
名古屋市立大学大学院医学研究科再生医学分野 准教授
2022.4 –
同志社大学脳科学研究科神経再生機構部門 教授

研究協力者

蘇武 佑里子 (同志社大学大学院脳科学研究科)

蘇武 佑里子(同志社大学大学院脳科学研究科)
                           

ひとつひとつの細胞には多種多様な構造体が存在し、それぞれが複雑に制御されています。これまでは1細胞の中のオルガネラの動きや、1分子の動きを解析してきました。新生ニューロン群の制御則を明らかにすることで、最終的には、細胞内の1分子の動きから細胞群の制御をつなげて説明できる機構を解明したいと思っています。

経歴

2013.3
北海道大学薬学部 卒業
2015.3
北海道大学大学院生命科学院生命科学専攻修士課程 修士(薬科学)取得
2018.3
北海道大学大学院生命科学院生命科学専攻博士後期課程 博士(薬科学)取得
2018.4 – 2018.5
北海道大学大学院薬学研究院 博士研究員
2018.6 – 2021.6
Stanford University School of Medicine, Department of Biochemistry, Postdoctoral Fellow
2021.6 – 2023.3
北海道大学大学院薬学研究院 特任助教
2023.4 –
同志社大学脳科学研究科神経再生機構部門 助教